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■ 女性のライフステージと歯周病

女性のライフステージは女性ホルモンの消長によって大きく左右されます。わが国は世界一の長寿国となりましたが、このことは更年期以降の生活の質の向上が重要なテーマとなることを意味しています。
 口腔が健康であることも、生活の質の維持・向上のために絶対不可欠な条件のひとつです。食事がおいしく楽しめるということは、一見、平凡なことのように見えますが、実は非常に重要なことなのです。女性の各ライフステージとお口の症状について、その特徴を下記の表のようにまとめました。老後の幸せな生活のためにも、若い時期からの賢明なお口のお手入れを心がけてください。










ライフステージ
歯周病
原因
局所における変化









・思春期の歯肉炎・女性ホルモンの分泌
・プレボテラ・インテルメディア菌の局所での増加
・歯肉の腫れ(炎症性変化)
・バイオフィルム(プラーク)に過剰に応答
・侵襲性歯周炎
 (若年性歯周炎)
・遺伝的背景・第一臼歯と前歯部の骨吸収
・みかけの炎症症状は少ない
・侵襲性歯周炎
(重度進行性歯周炎)
・女性ホルモン分泌の変化
・遺伝的背景
・歯肉の炎症症状が著明
・急速な歯槽骨の吸収
・歯の動揺


・妊娠期の歯肉炎・女性ホルモン分泌量増加
・プレボテラ・インテルメディア菌の局所での活動が活発になる
・歯肉の炎症性変化
・妊娠腫
・妊娠8ヶ月頃まで炎症著しく、9ヶ月頃から消退


・慢性歯周炎
(さまざまな危険因子や全身疾患の影響を受ける歯周炎)
・喫煙、ホルモン分泌量の変化、ストレスなどの影響
・糖尿病などの全身疾患の影響
・服薬の影響
・定期的な歯周炎の症状に加えて全身疾患の影響が歯肉や歯周組織に反映される
・服薬の副作用として歯肉の腫張や口渇症状
・更年期性歯肉口内炎
・慢性歯周炎
・歯根露出に伴う 問題
・女性ホルモンの分泌量の減少
・カルシウムの吸収率低下
・顎骨の骨減少症
・歯の喪失傾向の増大


歯周病が及ぼす口腔のリスク

歯周病を持つ妊婦は低体重児出産
 する可能性が大きくなります
胃潰瘍を起こすピロリ菌は唾液や
 プラークの中にも存在します
低体重で生まれた赤ちゃんは虫歯
 にかかりやすく進みも早いことが分
 かっています
歯周病は直接的にも間接的にも心
 臓病に関係します
歯周病を持つ妊婦では早産の可能
 性が7.5倍もあります
糖尿病とも密接な関係があります
近年歯周病は、糖尿病の第6番目の
 合併症といわれています
歯周病(口腔の不潔)は肺炎を起こ
 すこともあります
歯周病を持つ人の血管はそうでない
 人の2倍以上血管壁が厚くなっています


女性のためのオーラルケア12条


1、オーラルケアの基本は、プラーク・コントロール(バイオフィルムの機械的除去)です。
2、バランスのとれた食事を楽しい雰囲気でよく噛んで食べましょう。
3、女性の生涯には、病気の感受性の高くなる時期があることを理解しましょう。
 そのような時期には、リスクに応じたケアが必要です。
4、むし歯や歯周病に自分がどれだけかかりやすいか(リスク)を知りましょう。
5、タバコは毒の缶詰です。タバコを吸っている方は、ぜひ禁煙しましょう。
6、骨粗しょう症予防のために、無理なダイエットはやめましょう。
 若い時期から骨密度の維持を心がけましょう。
7、「歯ぎしり」と「くいしばり」に注意しましょう。
8、固いものをよく噛んで食べることは歯の健康のためによいことですが、骨髄(神経)を取ってかぶせ
 ものをした歯がたくさんある人は、歯根の破折に注意しましょう。
9、フッ化物入り歯磨剤やキシリトールガムなどをかしこく利用しましょう。
10、自分が服用している薬剤について、充分な知識をもちましょう。
  とくに口腔にあらわれる副作用に注意して下さい。
11、高齢者の誤燕性肺炎に注意しましょう。
12、信頼できるかかりつけ歯科医院を決め、定期的にメインテナンスを受けましょう。むし歯や歯周病
  になってから通院するのではなく、口の病気を発症させないために歯科医院を利用したいもので
  す。


■ 骨粗しょう症

骨粗しょう症
骨粗しょう症とは、骨の絶対量は減少しているものの、骨の形の変化を伴わない状態をいいます。40歳代中頃における女性ホルモン(エストロゲン)の分泌低下が密接に関係しており、特に臨床的に問題となるのは老人性の骨粗しょう症で、加齢とともにその発生率は増加し、女性に多く更年期以降に急増します。


骨粗しょう症と歯周病の関係については、健康な女性と骨粗しょう症の女性を比較すると、後者では歯周組織の萎縮傾向が強く見られ、歯を支持している骨の密度が低くなってしまう事がわかっています。

 骨粗しょう症と生活習慣との関わりについて調査した報告があり、その中でも最も顕著な関係が認められたのは喫煙習慣でした。
 タバコを吸わない場合を1とした場合に、1日1から14本吸う人では約2倍、15本以上吸う人では約4倍も骨粗しょう症になりやすいことが明らかになっております。

女性とタバコ
 女性の喫煙は、男性の場合よりその影響はより深刻です。とくに妊婦の喫煙は本人だけでなく、胎児の成長、発育に大きな障害となります。また、ニコチン依存症になると女性は男性よりも離脱しにくいのです。
 タバコは、全身のさまざまな病気の原因となりますが、とくに歯周病の最大最強の危険因子です。

タバコの影響により歯肉が
黒く変色し歯の表面にはタ
ールがこびりついています。
12歳からタバコを吸いはじ
めた24歳女性の口腔写真

骨粗しょう症を防ぐには
栄養のバランスのとれた食事、カルシウムの摂取
塩分やリンの過剰摂取はさける
食事は楽しい雰囲気でよく咀嚼する
喫煙者は禁煙する
日光浴をしてビタミンDの摂取をこころがける
1日8,000歩程度を目標にしたウォーキング
骨粗しょう症になるリスクを早めに発見する
(更年期を迎えたら定期的に骨量を検査する)

■ 思春期と歯周病

 思春期になると黄体化ホルモンと卵胞刺激ホルモンが分泌されます。これらのホルモンによってプロゲステロンとエストロゲンという女性ホルモンの分泌が始まります。
 このプロゲステロンの量が増えると歯肉の知覚が敏感になり、ちょっとした刺激に対して大きな反応が現れてくるのです。

ちょっとした刺激で大きな反応?
それって、どんな刺激で
どんなことになってしまうの?

例えば、少量のバイオフィルム(プラーク)や食べ物のカスが歯肉の縁に付着していると、それに対して著しい炎症反応が出てしまいます。そして歯肉が腫れて、出血しやすくなり、人によっては痛みを伴うこともあります。


13歳女子。歯間乳頭の部分に
独特な腫張が見られます
専門家によるプラーク・コントロール
指導と患者の協力によって改善
 このような歯肉炎は女性ホルモンとの関係が深いことから、思春期の男の子には一般的には見られません。この時期のこのような症状は、女性特有のものであり、人によっては月経の始まる3から4日前に歯肉が腫れたり出血することもあります。このような症状も女性ホルモンの量が減少するにつれて軽くなるのですが、この時期に特にお口の中を清潔に保ち、定期的なメンテナンスを受けることが大切なのです。


■ 女性ホルモンの歯と口腔の健康への影響

はじめに

女性には、男性とは異なった遺伝的背景やホルモンの違いがあるため、お口の症状にも女性特有の問題が現れることがあります。
人生の中で女性が経験するいくつかの節目ごとに身体的変化があり、その影響が歯周組織や口腔粘膜などに現れてきます。その変化や症状をそれぞれのステージごとに見ていきましょう。

歯周病ってどんな病気

歯周病とは、歯を支持している歯周組織に起こる、炎症を主な症状とする病気です。口腔内に常在する、ある特異的な細菌による混合感染と考えられており、程度の差はあるものの多くの人が歯周病にかかっています。
 バイオフィルム(プラーク)の中の歯周病原菌やその代謝産物の作用によって、歯周組織が破壊され、重症になると歯がぐらぐら動きだし、膿が出るようになり、やがて歯は抜けてしまいます。


歯周病の危険因子
局所的因子
・歯の形態
・歯周組織の形態
・咬合関係
(かみあわせや習癖)
・唾液腺の状態
(口腔乾燥症)
・口呼吸
・口腔衛生の状態 など
全身的因子
・ホルモンの分泌以上
(女性ホルモンの変化)
・喫煙・多量の飲酒
(骨吸収を早める)
・糖尿病
・ストレス
・薬剤の副作用 など
この中で女性特有の問題が、その生涯におけるホルモン分泌の変化なのです。

女性の生涯とホルモンの変動




■ 主治医(かかりつけ歯科医師)がいる方ほど長生きします。その理由は?

主治医(かかりつけ歯科医師)がいる方ほど長生きします。
その理由は?
口は健康の入り口です。この大切な場所をかかりつけ歯科医師に定期的に診てもらうことにより、大事な歯を残せます。
また、口の中に繁殖する菌を清掃することで、肺炎や心臓病なども防ぎ長寿を得られます。口腔ケアをしっかりしている人は将来寝たきり患者になることは少ないのです。これらのことには、エビデンス(根拠)があり世界的にも証明されています。


■ 全身の健康は、まず口の中から

全身の健康は、まず口の中から
子供のころから「節制ある生活態度」を身につけていることは、将来的にも心身の健康につながります。その中でも特に「節制ある食習慣」を築いていくには、まず「口腔内(こうくうない)の健康が欠かせません。「全身の健康はまず口腔から」と言っても過言ではないのです。口腔は、歯科医師にとって「その人の健康を総合的に見分ける窓」になります。
例えば、定期的な歯科検査では、摂食障害と前がん状態(がんになる前の状態)などの早期発見が可能です。
口腔の衛生を保持し、定期的な健診を続けたり、歯科衛生士による専門的な口腔内の清掃処置(PMTC)を受けることは全身の健康への重要な第一歩なのです。
食べる楽しさをなくした子供たち
いま、子供たちの食生活の現状はどうなっているのでしょうか?

子供達が食物をよく噛めない、飲み込めないという問題は、生活習慣病の要因の一つとしても大いに指摘でき、社会的にも大問題です。食事は楽しく、マナー、団らん、会話も大切です。
肥満傾向児童も増加
偏りある悪い食習慣は、必然的に肥満増加にもつながってきます。性別・年齢別・身長別の平均体重を算出し、その該当する平均体重に対して120%以上の体重の児童を「肥満傾向児」といいます。学校保健統計調査によれば、この「肥満傾向児」は年々増加傾向にあり、ある学年ではその割合が約30年の間にほぼ倍近くも増加しています。(グラフ参照)
「小児肥満のあるものは、成人肥満に移行する可能性が非常に高い」という調査結果もあるのです。







■ 1に運動。2に食事、しっかり禁煙。3,4,5がなくて最後にクスリ。

適度な運動・休養
適度の運動は、体に溜め込んだ栄養エネルギーとして消費し、体力や運動能力を向上させるだけでなく、肥満症の大きな原因の一つでもある、運動不足を解消します。また、食欲の増進や精神衛生上のストレスの解消を促します。
また、同時に十分な急速、睡眠をとることも良い生活習慣として大切でしょう。
食事・しっかり禁煙
禁煙は、大きな社会現象となっている現在では良く認識されていることでしょう。
では食事に関してはどうでしょう。「食」は健康維持の基本です。年をとると、歯や消化器官の減退も免れませんし、歯を早い時期に失うと、そのハンディは増加します。
また、保健婦さんや保母さん、学校関係者から「噛めない子」「噛まない子」「食べ物を飲み込まない子」が多いという訴えが増えてきています。
ようやく最近、「食育」「食農教育」が言われ始め、その中でも特に「噛む」ことの大切さが認識されてきています。



■ 「食生活指針」を実践しましょう。

厚生労働・農林水産・文部科学省が策定した
「食生活指針表」を実践しましょう。
飽食の時代と言われる近年、脂質の摂りすぎ、栄養摂取の片寄りなどバランスの偏った悪い食生活をする人が増えています。
下に記載した指針は、このような現状を踏まえ厚生労働省、農林水産業、文部科学省の3省が合同で、国民に分かりやすいように「食生活に関する具体的な実践目標」を定めたものです。
この指針は今後3省が連携し全国的な普及、定着に向けて運動、展開をしていきます。
      【食生活指針10項目】
みんなで食事を楽しみましょう。
1日の食事リズムから、健やかな生活リズムをつくりましょう。
主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスをとりましょう。
ごはんなどの穀物をしっかり摂りましょう。
野菜・果物、牛乳・乳製品、豆類、魚なども組み合わせて摂りましょう。
食塩や脂肪は控えめにしましょう。
適正体重を知り、日々の活動に見合った食事量を。
食文化や地域の産物を生かし、ときには新しい料理もつくりましょう。
調理や保存を上手にして無駄や廃棄を少なくしましょう。
自分の食生活を見直してみましょう。
※詳しくは、厚生労働・農林水産・文部科学省のホームページをご参照ください。



■ 良い生活習慣は健康・長寿への第一歩!

厚生省「健康日本21」の中間評価によりますと、病気の発症・重症化予防の基本で最も重要なことは「個人の生活習慣を改善すること」とされています。
現在日本は、世界一の長寿国です。これを継続させるには、より良い食生活習慣は欠かせない第一歩です。
 
未だに死亡率が非常に高いがん死亡の原因に、日頃の食生活が大きく関わっています。
また食生活習慣の良し悪しは、あらゆる生活習慣を引き起こす要因となります。

がん死亡の原因寄与割合
英の疫学者R.Dollによる調査、推計より

■ 噛んでやせたフレッチャーさんのお話

【噛んでやせたフレッチャーさんのお話】
百年も前に「よく噛んでやせる」方法を発見した時計屋さんがいました。彼は事業を成功させ、運動もせずグルメ三昧の暮らしをして100キロ近く太ってしまいました。医者の精密検査を受けたところ、いろんな病気になってきていると指摘されました。そんな彼が「健康にもどるには?」と思案しながら散歩をしていた時、貧しくはあるが楽しそうな食事風景をのぞいたのです。彼はひらめきました。
それは自然の食べ物を、楽しく、ゆったり良く噛んで食べること」でした。実行するにつれだんだん体重が減り、5ヶ月で30キロも減量できました。運動する意欲もわき、自転車競技でも優勝しました。彼の噛む健康方法は、栄養学の権威にも証明され「フレッチャイズム』と名づけられたのです。

■ 丈夫な歯はカルシウム摂取の恩恵だけ?

【丈夫な歯はカルシウム摂取の恩恵だけ?】
硬くて立派な葉が出来上がるためには、カルシウムの他にいろいろな栄養素が必要です。煮干や小魚が歯に良いというのはカルシウムが多いからだけでなく、ミネラルである「フッ素」がたくさん含まれているからです。今日ではこの「フッ素」を科学的に応用した「フッ化物の」適用が国際的に推奨されています。「フッ化物溶液」でブクブクうがいをしたり、フッ化物入りの歯みがき剤やスプレーなどを歯に吹きかけてむし歯を予防している家庭なども多くなりました。

■ 歴史が語る、噛むことで顔の形もかわる?

【歴史が語る、噛むことで顔の形もかわる?】
歴史上かの有名な徳川家康には、「一口で48回噛んだ」という記録が残っています。埋葬された遺骨などの分析・研究により、家康の顔は「えらの張った四角い顔立ち」をしていたといわれています。
時代がながれ、12代将軍・徳川家康の歯をみると、ほとんどすり減っておらず、これは食物を良く噛んでいなかった証拠です。食べ物も豊富になり、彼がいかにやわらかいものばかり食べていたかが推測できます。その分あごの骨も発達せず、顔の形も「うりざね顔・らっきょ顔」だったそうです。

■ 唾液は、食中毒やO-157まで防ぐ!

【唾液は、食中毒やO-157まで防ぐ!】
唾液中に含まれるリゾチューム、ラクトフェリンなどは、口腔内の細菌の繁殖をおさえ、自浄作用(自然の清掃作用)を促します。また良く噛んで食べるとその信号が胃に伝わり、強酸が分泌されて外来性の病原菌を死滅させます。仮に生き残った菌も、胃や小腸で殺菌力の強い酵素や免疫グロブリンの働きにより溶かされてしまいます。たくさん噛んで、いっぱい唾液をだすことが、これらの感染の予防につながるのです。